ひな百合手記

関係性と悲鳴と考察

星見純那、赦しをありがとうという気持ち

レヴュースタァライト第9話

「星祭りの夜に」

 

 皆さん、もう9話は見ましたか? 私は見ました。まだの人はもうすぐ公式動画であがるはずなので、『見る前の解釈』などを今のうちに箇条書きでも用意することをお勧めします。

 

 これは、かねてからTwitterで叫んでいた解釈と一致……いえ、それ以上の『赦し』をもたらした舞台少女、星見純那へのどうしようもない感謝。そのための、短い文章です。

 当然、ネタバレがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゅんなななは『赦し』のカプである、あってほしいとは常々祈り続けてきましたが、まさかここまでの純度でくるなんて………

 

 着々と準備が進む、次のスタァライト。再演であって、大場ななの『再演』ではない、新しい舞台。

 変わっていき、先へ先へと進んでいく仲間たち。それは、『再演』の終わりの兆しでもある。

 倉庫教室、第99回目の星翔祭で使用された『星摘みの塔』を眺める大場なな。その場所で、ついに大場ななが星見純那に、でも、星見純那だけにすべてを暴露した。それは再演の決壊を前にした自暴自棄のようなものであって、直後に逃げ出すように立ち去るものだったとしても。星見純那だけが、真実を、知らされた。
 ——もしかしたら、「純那ちゃんなら、分かってくれるよね?」という願いも込められてたのかもしれない。それで答えも聞かずに出たのか。

 でも、だからこそ。既に彼女は壊れかけだったから。

 だから——愛城華恋の役割、「絆のレヴュー」はあんなにもあっけない。

 トドメを、大場ななの『再演』による保護より強い絆である『運命』をもって、大場ななに引導を渡すのが、愛城華恋の最大だから。大場ななが隠してきた「スタァライトなんて、あんな悲劇なんて大嫌い」という本音を引き出し、「みんなを守る」という建前じみた願いも取り払い、「みんなでずっとこの再演を演じてなきゃ——ダメ!」というワガママも、「華恋ちゃん」という涙声の嘆願すら押しのけ、次に進むという意志を、愛城華恋は示した。


 『再演』はあっけなく、潰えた。

 

 レヴューが終わった後。大場ななはあの中庭でひとり座っていた。もしかしたら、『再演』をはっきりと拒絶されたことで、寮に——みんなの輪の中に帰ることが出来なかったのかもしれない。
 けれど、それを星見純那は見つけてくれた。「ひとりぼっちの子を見つけてくれる」と大場なながかつて信じた、星見純那が。大場ななの『再演』の象徴、第1回目のスタァライトの脚本を持って。

 

「ずっと私たちのこと、見ててくれたのね」「何度も、ずっとひとりで」
 そう言って、その願いを尊重してくれた。

 

 偉人の言葉、かつて星見純那も励まされたのであろう言葉たち。そして——


「人には運命の星がある。綺羅星、明け星、流れ星。己の星は見えずとも、見上げる私は今日限り。

99期生、星見純那。

掴んでみせます、自分星!」


 ——そして、星見純那自身が掴んだ信条。そのすべてを尽くして、寄り添おうとしてくれた。

 

 だから大場ななも、ようやく素直になれたのだろう。「欲張りだったのかな、私」——それは奇しくも、2話で愛城華恋に敗れた星見純那の零した「考えすぎなのかな、私」と似た言葉。同じ座り方で。

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 「みんなを守る」「ずっと一緒にいずっとという願いの底の底、それでも消えなかった『もっと楽しく、もっと仲良くなれるように』という情熱。今回の『異常な再演』の方が、より煌めいている事実。それによって今までの『再演』を否定されているかのような恐怖。それらを吐き出して、「間違えてたのかな」と。

 

「なあんだ、あなたもちゃんと舞台少女なんじゃない」「もっといいものに、いい再演に」
「あっ…」
 けれどその願いを、星見純那は認めてくれた。

 

「舞台も、舞台少女も変わっていくもの」
 これから、いくらでも変われると、やり直せると言ってくれた。

 

「舞台少女なら——大丈夫」
「だから一緒に創ろう、なな。私たちで、次のスタァライトを」
 大場ななを——自身の努力を、未来を空転させ続けていた少女を赦し、受け入を、一緒に進んでいこうと。抱きしめてくれた。

 

 そうやって赦されて、抱きしめられて。ようやく大場ななは涙を流すことができた。

 『みんなの大場なな』として気を配り、輪の中に入れてもらえるように、無茶をし続けた少女が。「怖がりで、泣き虫」な。「子どもみたい」な、ありのままの姿を、感情を——「ごめんね」を。ようやく。

 

 星見純那は大場ななの過去を、『再演』を、その幼稚な、でも純粋すぎた願いを、決して否定しないでくれた。
 失敗してしまうこともある。泣いてしまうこともある。けれど、それを糧にすることこそが自分たち『舞台少女』だと。その心得なのだと。だから全部、次の舞台へ持っていこうと、言ってくれた。

 ああきっと。これこそが。大場ななに本当に必要な星だった。

 『再演』なんていう無茶ではなく。未来に向けて進む、その勇気。言葉として背を押してもらうこと。受け入れてもらうこと。それこそが。


 ありがとうレヴュースタァライト第9話。

 ありがとう、星見純那。ひとりの少女を救ったあなたは、大場ななを導いてくれたその煌めきは。疑いようもない、確かに輝く、ひとつの『星』だ。